ヒーロー番組は教育番組である

 宮内洋氏の名言です。
 子供向けであるからこそ、子供がちゃんと学べるような話を作らないと。
 とか思いつつ、昔から結構えげつない話も作っていたりするのがヒーロー番組の恐ろしいところ。
 そしてそんな番組に慣れ親しんだ結果、私のようなロクデナシが出来上がるわけです。

 誰がロクデナシか誰が!

 昔は今ほど言葉の縛りがありませんでしたので、描写とかも露骨ですし何よりも放送禁止用語が多かったりしました。
 有名なのは「ウルトラセブン」の「狙われた街」での台詞。
 特殊な成分を配合した煙草により、人の精神がおかしくなり、被害がどんどん大きくなる中、防衛組織ウルトラ警備隊の中にも被害者が増えていきました。その際出た台詞。キリヤマ隊長が吐き捨てるように

「まるでキチ○イ病院だ!」

 今言ったら大騒ぎです。
 先日もとあるきっかけで「ウルトラマンエース」の本編を数話観たんですが(先日ちうても昨年末近くの話だが)、そこでは超獣の被害により目をやられ、目が見えない市民たちが続出する中で、防衛組織TACの隊員がサンタに扮したウルトラの父(当然そんなこと知るはずもないわけだが、不思議な力を出すサンタ、ということで)に向けて一言

「町中に○くらが溢れています!」

 ま、禁止用語はちょっと話が外れるのでこれぐらいにしますが、風刺が強烈な物語もいくつか存在しました。
 それが色濃く出ているのが上原氏と金城氏による脚本だったかと。両氏は共に沖縄出身の方で、昔の微妙な立ち位置環境で育ったためか、「迫害」や「差別」「侵略」というカタチの本がいくつも見受けられました。
 「ノンマルトの使者」では地球人よりも先に地球に存在していた人類=ノンマルトの話が描かれました。「先住民ノンマルトと後から現れた地球人」の関係。これは「侵略」ってところでしょうか。
 「怪獣使いと少年」では星に帰ろうとしているメイツ星人を助けようとする少年に容赦なく汚い言葉やものがぶつけられます。「迫害」であり「差別」ですな。
 単に「地球で暴れて街を壊す怪獣や侵略する宇宙人と戦う戦士」というわけでもないわけです。いくつものシリーズ、いくつもの物語には色々なものが内包されています。世論を反映したものもありましたし、強烈に風刺ったものもあります。ウルトラマンが守るものは必ずしも善ではありません。何しろ「人間」なんですから。
 個人的にもインパクトが強かった話は他にいくらでも出てきます。具体的に言えば「ウルトラマン」の一つ「故郷は地球」とか。
 悲劇の宇宙飛行士ジャミラの物語。小さい時に観たこれは衝撃でした。まだ善悪とか良く分からなかったはずなのに、彼の復讐を邪魔し、倒すウルトラマンがとても嫌だった。最後泣きながら絶命するジャミラはきっと今観ても締め付けられるような想いをするんだろうなぁ。

 ウルトラの戦士たちは地球人ではありません。なので地球人との考えの違いにギャップを感じ、時には悩みます。
「ノンマルトの使者」でセブンことモロボシダンはノンマルトの使者である少年とウルトラ警備隊とのギャップに悩まされます。
「昔から住んでいた」ノンマルトと「海底も我々のものだ」と声高々に言う「後から地球に住みついた人間の一人」キリヤマ隊長。侵略者と戦ってきたセブンが苦悩します。一体どちらが侵略者でしょう。
「怪獣使いと少年」でメイツ星人を宇宙に帰そうと、隠した宇宙船を探し続けた少年を迫害する地球人たち。そしてそれを見かねて出てきたメイツ星人に向けて放たれた銃弾により絶命するメイツ星人。メイツ星人が封印していた怪獣ムルチが暴れるのを見て「助けてくれ」と叫ぶ地球人。そんな姿を観てウルトラマンである郷秀樹は呟きます。「勝手なことを言うな」
「帰ってきたウルトラマン」や「ウルトラマンエース」の終盤はこういう人間の醜いエゴを容赦なく見せ付けていました。

 「ウルトラセブン」の最終回でセブンは傷つきボロボロになり、上司から「これ以上地球にい続けると死んでしまうから戻れ」と言われました。これって身体だけじゃなくて精神も相当傷ついたんじゃないかと思います。 
 信じて戦い、守り続けた地球人の幼く身勝手な精神に振り回され、精神を蝕んでいくウルトラマンたち。
 先日のメビウスでエースが登場した際、エースがメビウスに言い残した言葉があります。メビウスが助けた人間に、助かったと思った瞬間掌を返すように厳しい態度で当たられ、人を信じることを迷わせる気持ちになった時に使われた言葉。

「やさしさを失わないでくれ。弱いものをいたわり、互いを助け合い、どこの国の人達とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。
たとえその気持ちが、何百回裏切られようと。それが、私の変わらぬ願いだ」

 これはウルトラマンエースの最終回でエースが子供たちに向けて言ったこととほとんど同じです。「変わらぬ」が「最後の」になっただけ。
 苦悩するエースを見続けていたからこそ深く、心に刻まれる言葉。
 そして昨日のメビウスで同じように何度も地球人(というか日本人)に裏切られた帰ってきたウルトラマンことジャックが登場。戦う意義を見失ってしまったメビウスに諭します。彼も地球を守っていた時様々な悲劇を体験しました。婚約者や兄と慕っていた人を殺されたりとか。

 かつて「怪獣使いと少年」でウルトラマンジャックが所属していた組織MATの伊吹隊長が言っていたことを思い出します。

「日本人は美しい花を作る手を持ちながら、いったんその手に刃をにぎると、どんな残忍きわまりない行為をすることか…」

 それを思い知ったジャックだからこそ、メビウスに語れます。

「人間の強さも弱さも、美しさも醜さも、その両方を知らなければお前はこの星を愛することは出来ない」

 色々と考えさせられます。今改めて思います。教育番組だなぁと。キケンだけどね。教育ってか教訓みたいだけど。

 先日の「仮面ライダー電王」でも「悪いことをしたら「ごめんなさい」」と言っておりました。必要な要素じゃないかと思います。 

本日のオチ。
 ここだけマニアックトーク。
「GUYSという家があり、仲間がいる」という郷秀樹の台詞は昔自分が言った「僕には、MATという家があり、隊長という父がいます」からかしらね。
戦闘シーンを静止画のみ、という演出は良く実相寺監督がやっておりました。物語の内容が濃い時によく用いていた気がするので恐らく尺の都合?
そして来週はセブンが登場。予告で観た氷漬け磔メビウスを観てからセブン、という単語を入れると、ウルトラアイを雪の中で落としてしまい、必死こいて探しまくっていた「零下140度の対決」を思い出します。
あと磔は映画でも出てきたガッツ星人の「セブン暗殺計画」を。まさかとは思うが「ティガ」や「マックス」でもやっていた「動けないウルトラマンにエネルギーを供給するため、戦闘機でエネルギー照射」をやるつもりなのか?



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仮面ライダーなどなど

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